一歩一歩
園長 安藤希與子
紅葉の美しい季節となり、園庭も色づいてきました。そんな秋真っ盛りのこの時期、子どもたちはいよいよお遊戯会の練習に突入していきます。
さて、東日本大震災から四年半。復興の進む被災地で「人間の心の奥底に光を送ること。これが芸術家の使命である。」
との信念を持って多くのミュージッシャンや芸能人が訪れています。
そんな人々の温かい声援に包まれている被災地ですが、復興に向かう道程は、ゴールの見えないマラソンのように思えます。
随分以前のことですが、私のマラソン現役時代、よく人から「マラソンを走っている時に何を考えているのですか?」と尋ねられました。遠いゴールのことを考えると気がめいるので、私はいつも「あの先の角まで、次はあの高いビルまで、そして次は高くそびえるタワーまで・・・」と目標となる景色を変えながら、ゴールに少しずつ近づいていきました。これからの日本にも、そんな走り方が必要だと思います。ただ猪突猛進にゴールを目指すのではなく、たまには立ち止まって、様々な景色をじっくり眺めたり、自らの走りを振り返ったりすることも必要なのではないでしょうか。
復興に向かう東北3県のように目標に向かって一歩ずつ着実に、そして着地点を踏みしめたことを確かめて、また新たな一歩を踏み出していく。そんな根気強い歩みを続け、希望ある未来に向かって進んでいこうとする生き方のできる子どもたちを育てていきたいと思います。