下へ下へ

　　　　　　　　　園長　安藤希與子

毎年二月は年度末のまとめに向けてせわしい時期です。短い間に『豆まき大会』『お相撲さんと遊ぶ会』『なわとび大会』と様々な行事をこなしていきます。

先日、熱海から初島を訪れた際に、ブーゲンビリアの植物園に足を延ばしました。この花は六月頃から華やかに咲き始め、満開の時期には必ず見学に行っています。このブーゲンビリアの本当の花は中心部にひっそりとあり、美しく目を引く紫色の花びらに見える部分は花を取り巻く葉であることを最近知りました。

　冬を迎え、その花は華やかな見ごろを終え、木の肌を見せていて、近くによって見てみると、花盛りのころと違って、妙にヒョロっとしている感じです。その根元に視線を向けてみて驚きました。その根が収まっている植木鉢がとても小さいのです。花の高さが３メートル以上あるにも関わらず、植木鉢がほんの一抱えの小さな鉢なのです。その植木鉢の中には、きっと想像を絶するような力強い根が渦巻いているのでしょう。

　かつて高校時代、目指した大学に絶対に受かりたくて、苦手な英語を夢中になって勉強しました。しかし結果がでなくて塞ぎ込んでいた時に、お世話になっていた恩師から

　「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ」というお言葉をいただきました。この言葉はそれ以来、私のスランプを何回も救ってくれたのです。

　目の前にいる子どもたちが将来、逆境にあっても、しっかりと下へ下へと根を伸ばし、苦しさに耐えられるような強さを身に付けてほしいと願うばかりです。